不偏分散の求め方【エクセルと電卓それぞれの計算方法を解説!】

統計量の性質と計算

推定や検定など様々な場面でお世話になる不偏分散。

本記事では、次の 2 通りの手段を使って、不偏分散を求める方法を解説します。

  • エクセル
  • 電卓

結論を述べると、エクセルがある場合は一発で計算できてしまいます。
データの数が多い場合は特にエクセルの威力を発揮します。

一方でエクセルなどの表計算ソフトを持っていない方でも、電卓を使って効率よく計算する方法があります。
不偏分散の求め方の公式を知っていれば、電卓をたたく回数を減らして楽に計算することができます。

それでは、エクセルと電卓それぞれの計算方法を見ていきましょう!

エクセルを使った不偏分散の求め方

次のような 10 個のデータの不偏分散を求めてみましょう。

画像のような 10 個のデータがあり、10 個のデータに対して不偏分散を求めます。

エクセルでは不偏分散を求める関数が用意されており、「VAR.S」という関数です。
次のように入力してみましょう。

「Enter」キーを押すと、不偏分散の値 1.788… が得られます。

画像はエクセル 2016のものです。
古いバージョンでは「VAR.S」が使えない可能性があります。
うまく計算できないときは、次節の電卓で計算する方法を試してみましょう。

エクセルで計算する最大の利点は、関数ひとつで一瞬で計算できることです。
特にデータの数が多いときに便利です。

電卓を使った不偏分散の求め方

エクセルが使えない環境にある場合、電卓で計算する方法を知っていると効率的です。

電卓を使う場合、不偏分散を下記のように変形した式を用いると、早く計算することができます。
\begin{align}
s^2&=\frac{1}{n-1}\sum_{i=1}^n (x_i-\bar{x})^2\\
&=\frac{1}{n-1}\left\{\sum_{i=1}^n x_i^2-\frac{(\sum_{i=1}^n x_i)^2}{n}\right\}
\end{align}
この式を使う場合、次のように計算していきます。

まず、下の画像のように、個々のデータを2乗した値を書きます。

次に、下の画像のように、各列のすべての数字を合計した値を計算してメモします。

データの個数は 10 ですので、上の画像の「合計」の欄と、\(n=10\)を公式に入れて計算できます。
\begin{align}
s^2&=\frac{1}{n-1}\left\{\sum_{i=1}^n x_i^2-\frac{(\sum_{i=1}^n x_i)^2}{n}\right\}\\
&=\frac{1}{9}\left(1161-\frac{107^2}{10}\right)\\
&=1.788\cdots
\end{align}
個々のデータの 2 乗を計算するのが少々手間ですが、電卓を使うとどこでも計算できるのが便利です。
また、不偏分散の式が、実際のデータに対してどのように使われるのかを、感覚的に理解しやすいのも利点です。

不偏分散の結果の解釈

エクセルや電卓を使えば不偏分散を求めることはできますが、不偏分散がどのような意味を持っているのかを理解することは、もっと重要です。

不偏分散を計算するときに起こる間違いとしては、n-1 で割るべきところを誤って n で割ってしまうことです。

不偏分散を計算するときには、n ではなく n-1 で割る理由を理解しておくと良いです。

近年は計算機の発達スピードが速く、大規模なデータでも瞬時に計算することが可能となってきています。
そのため、単に計算できるだけでなく、計算結果をどのように解釈するのかが重要になってきています。

まとめ

本記事では、不偏分散の求め方を、エクセルの場合と電卓の場合それぞれで解説しました。

それぞれの方法にメリットデメリットがあり、以下のようにまとめられます。

エクセル電卓
メリット・関数ひとつで計算できる
・データが数が多くなっても労力は変化せず
・エクセルがなくても計算できる
・不偏分散の式の意味を理解しやすい
デメリット・エクセルがないと計算できない
・バージョンによっては関数が使えない
・計算の手間がかかる
・膨大なデータには向いていない

この記事を見ながら、実際に計算してみましょう!

タイトルとURLをコピーしました